Scope

  • 研究会の担当分野
 人間は広義での「記号」を用いたコミュニケーションにより社会的な協調をはかり,文化形成を行っている.我々が記号的コミュニケーションを行うとき,それを含んだシステムの全体はミクロ・マクロループを含んだ創発システムとして捉えられることができる.これを記号創発システムと呼ぶ.しかし,そのシステムがより詳細にどのように記述され,理解され,また,形成されるのかは明らかではない.パースを始祖とする記号論における記号とは人間の言語一般を含みながら,より多くの象徴,指標,類像などの概念を包含するものであり,人間の認識における意味作用やコミュニケーションの理解のためには記号創発システムの理解に学術的探求の焦点を絞ることが必要不可欠である.また,人間社会において人間とコミュニケーションが可能なロボットを構築したり,人間に寄り添う情報サービス,自動化装置を構築したりするためにも,記号創発システムの理解は不可欠である.本調査研究会は,言語学,発達科学,認知科学,記号論,ロボティクス,人工知能研究,知能情報学等の境界線上に新たなシステム論を打ちたて,諸分野に存在するボトルネックを統一的に解決する取り組みを行う.この上で,人文社会科学と自然科学,計算機科学を跨ぐ新たなシステム論としての「記号創発システム論」を創造する.

  • 研究会設置の目的
 本研究会では「記号創発システム論」の全体像を学際的な議論の中で明らかにする.当該研究領域を形成していくためには,システム工学,人工知能,知能情報学,複雑系などのシステム・情報分野の学問のみならず,言語学,発達科学,認知科学,記号論,脳科学等の幅広い研究分野との相互作用が不可欠である.記号系という存在が,人間集団という自律分散的なシステムの中で自生的秩序として生じ,人間集団の協調を実現しているという事実を鑑みれば,そのシステムを創発システムとして捉えることの妥当性は極めて高い.創発システム論に関して国内において先導的な議論を行ってきたシステム・情報部門において提案の研究分野の中心となる研究会を設置し,異分野融合のための場を提供し,新たな研究領域をシステム・情報分野に創成する.
具体的な活動としては,定例の研究会を年2 回実施するとともに,部門大会におけるスペシャルセッションの企画を行う.また,設置期間中に国際シンポジウム,もしくは,国際ワークショップを開催し,本領域の国際的な発信も行う.これらにより,記号創発システム論に関する研究コミュニティの基盤づくりを行う.定例研究会では,研究成果あるいは進捗の報告,専門家を招いての勉強会等を行う.さらには,学会内外の関連研究グループとの研究会やシンポジウムを共同企画することにより,分野横断的に活動する.



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